夏の生活

氷室の朔日(ひむろのついたち)

金沢市内の和菓子屋ではこの時期「氷室まんじゅう」が出まわり、各家庭でいただいている。嫁の実家から婚家へ、黒塗りのお重に入れ、いり米と太チクワを添えて届けられる。 無病息災を祈る初夏の風習だ。

うら盆

8月1日〜16日は先祖の魂を迎えてお参りするお盆である。金沢市は今も7月だが、周辺郡部などは8月に行う。お精霊(しょうらい)花を上げ、キリコと呼ばれるヘギ板の屋根に四方紙ばりの灯篭をずらりと墓前に供えるのは壮観な光景でである。

旬の食物

夏の金沢で特筆は、絹ごし豆腐の冷や奴とドジョウの蒲焼きだ。アユが解禁、新ゴリに新ジャガイモ、枝豆に梅干、シタビラメにイカの鉄砲焼き、茄子ノオランダ煮、そうめん・・・・・・・・・と夏の味が並び、蓮田の加賀レンコンの蓮蒸し、そして土用丑の日にウナギの蒲焼きで元気モリモリとなる。

 

金沢の用水

金沢の街中は網の目のように入り込んだ裏道と用水が目をひく。お城を二重・三重にとり巻いて、外堀の役目を担い、街のすみずみまで清流が潤いを運んでくれる。代表的なのが、香林坊から武家屋敷へと導く「鞍月用水」だ。そして長町の武家屋敷町のまんなかを土塀に流れるのが鬼川とも呼ばれる「大野庄用水」である。もっと注目すべきは「辰巳用水」だ。約10キロ上流の犀川から街の中心の丘の上のお城まで、トンネルや導水管、サイフォンなどの技術を駆使して、堀の下をくぐって導かれた驚異の用水だ。しかも建設の苦労を表に見せずに、美しい流れは兼六園に入って曲水となり、霞ガ池となつて翠滝瓢箪池に姿を変えている。