春の生活

ひな祭り

古代中国の風習を源に、日本でも古来、貴族が人形で身体をなでて水に流し汚れを払ったのが、節句の行事として一般化、ひな飾りやひな遊びが広まつた。金沢では4月だったが、最近は3月が多い。成巽閣では豪華な大名びな展が催される。

お花見

日本列島を北上する桜前線は、通常4月上旬に北陸を通る。雪国の春は明るく気温も上昇し、春爛漫となる。兼六園は無料開放され(夜9時まで)卯辰山など桜の名所は人手で振るわう。金沢城石川門下(沈鐘苑)などは宴会の花ざかりとなります。

端午の節句

 
いわゆる『菖蒲の節句』。 中国から伝わり、武家で男子の尚武を養う日となった。男の子のいる家では鯉のぼりを掲げ、鐘其や武者人形をかざり、菖蒲湯に入る。

旬の食べ物

早春に春の訪れを告げるのはフキノトウとフキタチだ。野から摘んで塩で揉み糠づけすると、重石のすき間から芽がのびるので「おてんば漬け」と称する。春はいろいろの旬の味を連れてくる。野から青紫蘇、ワケギ、フキ、エンドウなど、山からタケノコ、ワラビなど山菜、海からアオサ、ワカメの海草やカワハギ、コアジ、アマダイ、サヨリなどの魚。サッシャミ(刺し網)イワシキトキトの獲れたてを砂にまぶして内灘のいたたき(行商)が売り歩いた。新鮮なイワシは煮ても焼いてもおいしく、ツミレだんごのフカシもまた春の旬の味だ。竹薮が続く金沢市別所町の筍料理も格別である。

 

金沢の慶事

結婚、建て前、誕生、還暦、喜寿などの祝事には、一家をあげて慶びを表し、親戚・友人ともども慶びを分かち合う。500年の歴史と伝統があり、仏教や伝統工芸などのさかんな金沢では、しきたりや習慣を大切に、料理や贈答品に気をくばる。結婚には祝いの饅頭の箱(せいろう)が家前に積まれ、嫁入り道具を積んだ専用運搬車、謡いや長持唄、重い引出物の包み加賀友禅の着物水引細工などの華やかな彩りが目をひく。鯛の唐蒸し五色生菓子地酒(地元の銘酒)など、独特の料理や菓子とそれを盛る器も秘蔵の名品を使う。九谷焼、輪島塗、加賀蒔絵などだ。春秋の祭礼には押し寿司や祭料理を作り、お茶会や芸事の発表披露などの折りにも、心をこめたお祝いのやり取りをする。

 

おめでたい金沢のお菓子

五色生菓子

五色とは『日、月、山、海、里』を表し、赤をまぶした丸形、月の麦饅頭、茶色のむし羊羹、波の菱形の餅菓子、黄色の飯粒を張り付けたイガラの五品を蒔絵のお重に入れて配る。

軍配餅、巾着餅

出産の折りに嫁の里から婚家に贈る餅。男の子が誕生した場合には、「杵巻き」と呼ぶ軍配型、女の子の場合には柳の枝に小さな餅をつけ根元に巾着型の餅をくっつけた「繭玉」を贈る風習がある。

寿せんべい

白く丸く薄いせんべいに紅と白の砂糖を塗り、白には紅、紅には白色で「寿」の字を染めた紅白一対のお菓子。緑色の松葉の千菓子を添える。

ころころ団子

出産1ケ月まえの戌の日、元気な赤ちゃんが無事にころころと生れますようにと、親戚知人に配る白い可愛いい餅。貰ったほうは、焼いて食べてはいけないことになつている。