金沢の伝統工芸技めぐり

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金沢市郊外地域へ 伝統工芸作品見学施設

兼六園・香林坊周辺

現代的な町並みの中にも、多くの歴史的遺産が息づいて、金沢の新旧の顔を代表する地域です。商業の集積地域でもあり、伝統工芸品をはじめとする品々を求めて散策することもまた楽しいひとときとなるでしょう。

加賀友禅

日本の染色工芸を代表する京友禅、沖縄の紅型と並ぶ加賀友禅は、石川の伝統工芸の中にあって、ひときわ華やぐ存在です。京都から正徳2年(1712)に金沢に来た宮崎友禅斎によって、それまであつた加賀染めに友禅画風の新しい模様が生み出され、今日に至る加賀友禅が確立されてきました。
写実的な草花模様を中心にした絵柄は、図案調の画風の京友禅とは違いを見せます。また色合いも京の淡彩に比べて多彩で、しかも三食暈し込み、虫喰い等のアクセントとなる表現が、自然美を巧みに描いて独特の雰囲気をかもし出しています。ことにボカシ技能は京友禅が内から外へぼかすのに対し、加賀友禅では外から内へぼかすため優美なおもむきを持っています。
(お問い合わせ先:加賀友禅伝統産業会館 TEL:076−224−5511,224−5522)

加賀友禅・加賀友禅伝統産業会館

兼六園下から徒歩3分、加賀友禅について知りたい方には見逃せないスポットです。
館内には色鮮やかな加賀友禅作品が展示されており、職人の彩色作業を見学できます。制作工程については説明ビデオが設置されていますのでご参考迄に。
また、友禅着物の着付け体験や、友禅染めの方染体験ができるので、ぜひ試してみてください。加賀友禅への理解がいっそう深まるはず。型染体験は所用時間は20〜30分くらい。染用に小物が取り揃えてありますがハンカチが手ごろです。

加賀友禅・彩筆庵

金沢の観光コースとして人気の高い、長町の武家屋敷跡にある加賀友禅の制作工程の説明があり、白い反物に書かれた下絵に色をつける彩色作業の様子が見学てきます。
実際に職人さんたちが仕事しているところなので、静かに見学したいものです。

九谷焼

江戸時代初期、明歴年間に、前田家3代藩主利常次男利治(大聖寺初代藩主)の命により、肥前有田で製陶を学んだ後藤才次郎が、連れ帰った陶工らとともに窯を九谷(現山中町九谷)に築いたのが始まりとされています。
この窯は30余年で廃窯となりますが、作られたものは「古九谷」と称され大胆な作図が世界的に有名です。
その後約百年の後には金沢で春日山窯が古九谷再興の先駆となって開窯し、続いて能美、加賀地方に若杉窯、吉田屋窯、宮本窯等 特色ある色絵が次々に生れました。
明治初期には九谷庄三の金爛手が九谷作風の主流となり、諸外国に輸出されました。金沢九谷はこうした再興古九谷以後の各時代・窯を源流として、日本を代表する色絵磁器として急速に発展し、今日に及んでいます。 (お問い合わせ先:金沢九谷振興(協) TEL:076−231−5288)

九谷焼・陶房長寿

九谷焼の店・長寿堂の工房です。ここでは、九谷焼の絵付け体験ができます。合いいろ一色の染付けで、所用時間は1時間程度。長寿堂には陶房オリジナルの製品も揃っており、おみやげ選びも楽しい。

金沢漆器

寛永年間(1630年頃)桃山文化を代表する蒔絵の巨匠・五十嵐道甫が、加賀藩に招かれて技法を伝えたことに端を発し、大名好みの高級美術品として品位の高さと華麗さが特徴です。
素地には、桧、欅、銀杏、桐、松材等が選ばれ、指物、挽物、曲物などで形づくられた素材に布着せ、紙着せの上に漆下地だけでも数十工程を経てつくられます。明治以降今日まで、全国的展覧会で高評化を得ることはもちろん、審査指導に活躍する作家を排出しています。
(お問い合わせ先:金沢漆器商工業(協) TEL:076−263−1151)

金沢漆器・能作

金沢市役所横に店舗を構える漆器の老舗。加賀蒔絵が華やかな金沢漆器や輪島塗りなども並ぶ2階で、お盆をつかった蒔絵の体験ができます。体験することで蒔絵の素晴らしさを実感したという方が多いとか。
所用時間は1時間程度。代用漆を使うので、かぶれることはありません。

手捺染型彫刻

小柄、中柄、大小の模様などを渋汁を施した型紙に細かく小刀で彫り込んでいきます。その型紙を使って加賀小紋はできます。根気を求められる上に、地味な裏方のため現在では後継者の育成が課題となつています。 (お問い合わせ先:安田型店 TEL:076−223−3886)

手捺染型彫刻・安田型店

金沢で唯一の職人、この道45年の安田博一氏。自宅に隣接する作業場でその正確かつ緻密な作業を見学できます。手捺染型は着物に染め抜く紋型や型染めの柄の型が有名ですが、それ以外にも和紙にすき込む模様の型などさまざまな種類を手がけています。

陶芸・北陶

旧加賀藩家老本多氏庭園の一角にある陶芸工房で、陶芸材料の販売や陶芸教室をおこなっています。
陶芸愛好家の多い金沢ですが、北陶はプロを目指す方が多く受講しているのが特徴で、多数の作家を排出しています。熱気溢れる工房見学はいかがでしょうか。

桐工芸

明治20年代に加賀蒔絵の巨匠・大垣昌訓が、桐火鉢に蒔絵加飾の技法を創案したことが始めとされ、その後木目肌を美しい金沢火鉢として全国で評判になりました。
絵柄や生産技術も研究されて業界も発展しましたが、近年の生活環境の変化により工芸品としての品種対応を余儀なくされ、菓子器、花器、小引出し、硯箱等が加わって高評です。
(お問い合わせ先:石川県桐火鉢商工業(協)TEL:076−231−2475)

桐工芸・上坂

木目の美しさと蒔絵加飾が特徴の金沢の桐工芸。菓子器や花器、箱物などは贈答品・記念品として重宝されています。上坂は創業60年余の伝統ある店。ここでは3人の職人さんが工場で制作に携わっています。
見学は店先で。ろくろびきの実演を見ることができます。

金沢箔・今井金箔ショールーム

金箔を使った製品が所せましとならぶきらびやかなショールームです。実際に金箔に触れ、その薄さや軽さを実感できるコーナーが人気。また、石に金箔を貼る、箔貼り体験もできます。
金箔が乾くのを待つ間、金箔制作工程の説明ビデオなど鑑賞すれば、あなたの知識は完璧に。

加賀象嵌

藩政初期に京都から招かれた金工宗家歴代の中にあつて、傑出した後藤琢乗が装剣技術を開発したのが起源とされています。平象眼の技法によって絶対に抜け落ちない強固さが特徴です。
藩政期には武具を中心として盛んでしたが、明治以降業界は壊滅状態となりました。しかし近年復活の気運が高まり、全国的にも評価の高い作家を輩出しています。
(お問い合わせ先:加賀金工作家協会 TEL:076−262−3531)

加賀毛針

金沢における起源については諸説があって定かではありませんが、加賀藩では武士の特権として川釣りを奨励し、鮎毛針は器用な武士によって作られていました。明治に入って誰にでも釣りが許されて需要が拡大しました。現在は高度な技術を要するため後継者不足で、金沢市では「職人大学校」を作ってその育成に取り組んでいます。(お問い合わせ先:加賀竿・加賀毛針の会 TEL:076−244−7306)

加賀毛針・キタツリ

釣り具のキタツリは加賀毛針の製造・販売の店。すべてが手作業の細かな毛ばり巻きの仕事は女性が中心。
キタツリでも奥さんの民子さんほか数名の女性が毛ばり巻きをしています。店頭が作業場になっていますので間近で見学できるのが魅力です。

加賀刺繍

加賀友禅の加飾などに使われて発展したと考えられるが、起源はさだかではありません。昭和の初め頃にはその名が全国に広まり、芸術的香りの高さが注目を浴びています。
無地の布地に下絵を描いて刺繍するものが多く、染めた模様の上に刺繍する京刺繍とはこと名つた趣を持っています。ここでは今、後継者育成が大きな課題となっています。
(お問い合わせ先:石川県加賀刺繍(協)TEL:076−291−5150)

加賀刺繍・今井刺繍

着物や帯に華やかな表情を持たせる加賀刺繍。犀川沿いにある今井刺繍は貴重な技術者、今井フクエさんの自宅です。細やかで繊細な作業の様子や作品などを見ることができます。

金沢クラフト広坂

金沢で初めての希少伝統工芸品のための専門アンテナショップです。全国でも、その高い資と集積度で評判の伝統工芸街、広坂通りに、新しく開店した小さなお店には、金沢の町に息づき、伝えられてきた、伝統の技のエッセンスがバリエーション豊かに揃っています。1F:販売コーナー 2F:企画展示コーナー

橋場町・東山周辺

金沢箔

文禄2年(1593)初代加賀藩藩主前田利家が、肥前名護屋陣中より国元へ金銀箔製造を命じたことが、金沢箔の発祥とされています。
幕府の江戸・京都以外での箔打ち禁止令の間にも、藩の庇護により密かに隠し打ちが行われたという歴史を経て、今日では全国の生産量のほとんどを金沢箔(金・銀・洋箔)が独占し、日本の美術工芸に欠かせない貴重な存在となっています。
10円硬貨大の金合金を、畳2畳大に延ばす高い技術は、金沢の気候、水質、箔打紙等に支えられています。(お問い合わせ先:石川県箔商工業(協) TEL:076−257−5572)

金沢箔・金銀箔工芸さくだ

泉鏡花ゆかりの浅野川がゆるやかに流れる、東山の一角にあります。近くは東の茶屋街で、格子戸が懐かしい金沢らしい雰囲気の街です。同店では、今、女性に人気の「あぶらとり紙」屋金箔入りローション、伝統工芸の金銀箔工芸品等多数が店内にずらりと並び金箔三昧が楽しめます。
めくるめくような金色に輝く金箔の化粧室もあり、一見の価値があり。ご利用も出来ます。きっと夢の世界を飛翔している気分になることでしょう。
金箔の作業工程が見学でき、職人さんが伝統の技をわかりやすく説明してくれます。

金沢箔・箔座

目に鮮やかな総金箔貼り「黄金の茶室」が有名なお店です。茶釜と風炉は24kとか。金箔茶をいただきながら、箔打ち、裁断の作業が見学できます。また、店内には現代感覚あふれる金箔グッスが並び、おみやげにも最適。金箔ふりかけ「花いちみ」や、あぶらとり紙が女性に人気。

 

茶の湯釜

正徳2年(1712)没の宮崎寒薙篭彦九郎を初代として現在の14代まで、宮崎家は裏千家の釜師として、形状、肌付、肌色や製法と、多岐にわたる家伝の技を使って釜を作り続け、高い評価を受けています。

竹工芸

金沢には竹林が豊富ですから、古くから日常生活、農業用はじめ茶道具、華道具、武具、楽器等が作られてきました。明治以降も伝統工芸品は日常必需品とともに作り続けられていましたが、戦後に至ってプラスチック製品の生産により実用品の需要が激減し、竹の長所を活かして、網代編主体の高度な模様編の茶道具、花生など工芸品の製作が中心となりました。現在後継者の育成が課題です。
(お問い合わせ先:金沢市商業振興課 TEL:076−220−2193)

竹工芸・橋本仙雪

橋本仙雪氏は日本伝統工芸展において幾度も入選されている竹工芸作家。
かっては日常品であった竹細工を、高度な文様編をもって工芸の域へと高められました。華篭や飾箱、お盆など、竹の風合いや表情を生かした巧緻な作りの作品は、竹工芸の素晴らしさを余すところなくかたっています。

加賀提灯

加賀提灯の作りは、竹骨を一本一本切断して使用するため、他産地が長い竹を螺旋状に巻いていくのと違い、伸びが大きくて一本が折れても全部が壊れてしまうことがなく、丈夫なことが特徴とされています。
しかし、現在では需要も少なく、このままでは技術の継承に課題が生じてしまう状況にあります。
(お問い合わせ先:五十嵐提灯店 TEL:076−231−7441)

加賀提灯・五十嵐提灯店

今では唯一の職人・五十嵐英治氏のお店です。創業は明治初期。さまざまな種類の提灯が掛けられた店内は、昔懐かしい雰囲気。寸法取りから、組立、絵を描き字を書き込む仕上げまで、作業は店頭で行われています。
尾張町の散策途中に立ち寄られるのもいいでしょう。

野町・千日町周辺

室生犀星が幼年期を過ごし、生涯心のなかの風景として大切にした犀川は、金沢の人々が四季折々に散策する美しい流れの川です。河畔の散策の後は犀川大橋を渡って、多くの見所を楽しんでください。

加賀水引細工

徳川初期の頃より、武家の献上品の発達とともに水引の飾り付けが工夫されてきました。
水引は、上質の日本紙を細長く切り、こより状にして海草、白土を練り混ぜて糊を引いて固め、その後綿布で光沢を出して仕上げ、色を着けたり金・銀箔を巻きます。華麗な慶事用松竹梅、鶴亀、鳳凰等や人形づくりは、高い評価を受けています。
(お問い合わせ先:津田水引型折店 TEL:076−244−0432)

加賀水引細工・津田水引折型店

”津田流”と称される、金沢を代表する水引の店。店頭に展示された色鮮やかで巧みな造形の水引細工はここならではのもの。店奥での作業をかいま見ることができます。

九谷焼・九谷光仙窯

にし茶屋街そばにある、創業明治3年の九谷の窯元です。成形から上絵付けまでの作業工程見学や絵付けの体験ができます。絵付けは湯飲みやコーヒーカップで1500円。

金沢仏壇

文明3年(1471)からの蓮如上人の布教に始まり、浄土真宗王国となつた北陸にあって仏壇は欠かせないものです。石川県では金沢、美川、七尾が産地を形成しています。
金沢仏壇は加賀蒔絵の伝統を受け継いだ美しさと、柄組によって制作された堅牢さに特徴があり、象眼、蒔絵、金箔と、駆使されている技術は加賀の伝統工芸の集大成ともいえます。
(お問い合わせ先:金沢仏壇商工業(協)TEL:076−223−4914)

金沢仏壇・塗師岡仏壇店

100余年の伝統を持つ製造・販売元。金沢仏壇は蒔絵や金箔、彫刻など、金沢の伝統工芸の集大成品ともいえるものです。作業場では下地や漆がけ、組立などを行っています。

金沢和傘

傘の中心部には和紙を四重張りし、糸も二重三重に張ってあるなど丈夫で、金沢傘の名で県外にまで販売されていました。製造は激減していますが、捨てがたい魅力が近年人気を呼んでいます。
(お問い合わせ先:松田傘店 TEL:076−241−2853)

金沢和傘・松田傘店

この道60年の松田弘氏の店。かつては分業だった金沢和傘の製作ですが、現在は松田氏が骨組みから漆がけの仕上げまでひとりで行っています。

金沢駅周辺

駅頭に降り立つと「エッ これが金沢!」と驚かれる方がいても不思議ではない程に、近代的ビルが林立しています。ここをスタートに市内に入るとそこは歴史が息づく町です。金沢の心に触れてみてください。

金沢箔・安江金箔工芸館

金沢駅・西口近くにあります。ここは昭和49年に金箔職人・安江孝明氏が、収集保存をしていた金箔製造用具や美術工芸品を公開するために開設されました。昭和60年に金沢市に寄贈され現在に至っています。
収蔵・展示点数は270点。漆器や仏壇、能装束等々、見応えは十分。金沢箔の卓越した技術とその文化の集大成といっても過言ではありません。
館内では箔移し作業の様子が見学できますし、夏休みやゴールデンウィーク中なら箔打ちも公開されます。
休憩コーナーで金箔茶やお菓子をいただきながら一服できるのも嬉しい。

藩政時代に武家女性の教養として盛んであった琴は、現在も金沢の生活に生き続けます。蒔絵や螺鈿を施すなどの、美術品的な琴も作られていますが、原木の購入から一貫製造する業者は少なくなっています。
(お問い合わせ先:三絃野田屋 TEL:076−221−2870)

三弦

琴のように装飾性の少ない三弦(通称三味線)は音色が重要で、材料と製作者の技術、演奏者の技能の三位一体が求められます。多種多様で変化に富んだ邦楽の需要に応じられる製作者は少なくなっています。
(お問い合わせ先:福嶋三絃店 TEL:076−252−3703)

琴・野田屋

金沢駅近く、別院通りにあります。昭和初期に創業し、現在、3代目野田正明氏が琴の制作に従事。音が命の琴は、胴のくりぬきをはじめとして、焼き付けや装飾・糸張りの仕上げなどを行っています。

金沢市郊外地域

中心部を離れると低く連なる山々に抱かれて、また遠く聞こえる日本海の波涛に育まれて、
伝統工芸の技を研き続ける人々がいます。
技を伝えることに心血を注ぐ眼差しには、きっと心を打たれることでしょう。

銅鑼

初代魚住為楽(1964年没)が唐砂張の研究から生み出した銅鑼は、楽器としての機能に加え美術品としての優れた美を持ち、氏は人間国宝に認定されました。現在は三代目が砂張技術を駆使して制作しています。 お問い合わせ先:魚住安彦 TEL:076−221−7390)

大樋焼(おおひやき)

寛文6年(1666)に5代加賀藩主・前田綱紀が京都から招いた千奏千宗室に同行した陶工・土師長左衛門が、金沢の北の大樋村(現在の金沢市大樋)に楽焼の窯を開いたのがはじまりで、以来加賀の楽焼として京都の楽本家と双璧をなす茶陶窯として、高い声価を受けています。
飴色といわれている独特の発色は、金沢に来るにあたって楽焼の黒赤の使用を京都から禁じられ、工夫して作った「雨袖」の効果であり、抹茶の緑との配色が美しく、暖かいてざわりとともに茶陶に相応しいといえましょう。
(お問い合わせ先:大樋美術館 TEL:076−221−2397)

郷土玩具

城下町金沢のくらしが人形によって偲ばれます。獅子舞や加賀鳶の姿の「加賀人形」、七転び八起きの縁起物「八幡起上り」、「加賀獅子頭」の飾り物や「餅つき兎」、「米喰い鼠」、「俵牛」、「犬張子」等々が今でも人気を博しています。
お問い合わせ先:中島めんや TEL:076−232−1818)

二俣和紙

平安時代の「延喜式」に既に産地として加賀の名があり、古くから作られていたことが判ります。その後長い間の断絶を経過し、江戸時代以後再び漉かれるようになりますが、この中心が資質の優れた二俣村(現在の金沢市二俣町)でした。加賀藩の庇護を受けて加賀奉書、杉 原紙、高壇紙等、高級な公用紙をはじめ、布目色杉原、打雲杉原等の技巧を施す和紙も手がけてきました。加賀奉書に使われる加賀樹は戦後一時途絶えましたが、現在わずかですが栽培が復活し、伝統を伝える努力がなされています。
(お問い合わせ先:二俣古里館 TEL:076−236−1233)

二俣和紙・二俣古里館

二俣の千年を超す和紙の伝統を伝えていくために、
原料となる楮などの栽培や紙漉きに取り組んでいる施設。
多くの人に和紙と親しんでもらえるよう、その歴史や工程の展示紹介、体験の場を設けています。
色紙や短冊、はがき、しおりなど、網を張った各種型枠を使って、水に溶かした楮を漉き、
そこに木の葉や野草をのせたり、金銀の箔をちらしたり、色をつけたりと、思い思いの和紙創作。指導もしてくれるので、だれでも気軽に楽しめます。

二俣和紙 斉藤 博

斉藤氏は、自家栽培の楮による加賀奉書をはじめ、原料と製法に工夫を重ねた古代紙や友禅紙など、
単なる美術工芸品ではなく、“使われるもの”として美と機能に優れた和紙を制作しています。
同所は仕事場なので、本物の和紙へ深い関心のある方は、こちらを訪ねてください。

おしがはら工房

金沢卯辰山工芸工房で技術研修を終えた若手作家たちが集まる制作施設。
利用できる期間は研修後3年間で、独立するまでの“共同仕事場”といえます。
制作分野は主にガラス工芸と陶芸で、1階は吹きガラス作業上と陶芸のガス窯室、
2階にはガラスの加工設備室、石膏原型室があります。
作家たちは個々のペースで創作をすすめているため、常時、作業が行われているとは限りません。
たとえば、ガラス工房では、吹きガラスの溶解炉やパートドヴェール(型焼成)の炉に火を入れる一定の
期間であれば、作家たちが集まることになりますが、陶芸工房の場合は、窯の火入れも各自別々です。
作品の展示などはありませんにで、制作現場や作品に特別な関心のある方は、
あらかじめ電話による打ち合わせが必要です。

竹工芸・島村白峰斉

竹材に囲まれた仕事場では、竹割りやかご編みの作業が行われています。
熟練したリズミカルな動きをみせる手は、みる間に端正な文様を積み上げていきます。
一口に竹工芸といっても、竹材の種類によって多彩なイメージが生まれること、
編み方は百種にもおよぶことなど、興味深いお話を聞くことができます。

九谷焼 ・エース金沢

金沢市中心部から車で10分程度走ったところにある九谷焼窯元です。
ここでは九谷焼の説明を聞きながらろくろ師の実演を見学したり、
九谷五彩の絵の具を使って絵付けの体験ができます。
また、館内には売店や食堂もあって、ショッピングを楽しんだり、郷土料理を味わうこともできます。
なお、北鉄の金沢市内定期観光バス指定スポットとなっているので、10:00〜昼頃、
15:00〜夕方は観光バスが立ち寄ります。
ゆっくりと絵付けなどしたい場合は、13:00〜15:00がおすすめです。

金沢箔 ・箔巧館

製箔から工芸品づくりまで一貫してオープンファクトリーとなっているから金沢箔のすべてが見学できます。
金箔体験でオリジナル作品を作った後は、茶房やギャラリーで一息ついてみてはいかがですか。

金沢表具

和紙を基本に、布貼り、裏打ちを施し、巻物、掛軸、書画帖、屏風、襖等に作り上げる手仕事で、高度な技術が求められます。茶道の興隆や仏教の普及と密接な関わりをもって発達してきた金沢表具は、藩政時代には京都・江戸と並んで有名でした。日常の仕事の他に近年は持っている技術を活かし、国や県の文化財の修復に携わることも多くなっています。
(お問い合わせ先:金沢美術表装 TEL:076−221−0624)

加賀竿

武士の魚釣りを奨励した加賀藩ですから、元禄の頃より竿師が出て、継ぎ竿を作るようになりました。明治維新によって庶民にも魚釣りが開放されると竿製作は盛んになり、高級な鮎釣り竿から大衆的な鮒釣り用まで作られました。戦後の食糧事情の好転、グラスファイバー製竿の普及で竹製の加賀竿は、大打撃を受けました。近年は本物の味わいに需要が安定してきました。
(お問い合わせ先:目細忠吉 TEL:076−244−7306)

加賀竿・ 目細忠吉

竹の切り出しから仕上げまでを一人でこなす目細忠吉氏。
イシダイ釣りの竿からタナゴ釣りの竿まで大小さまざまな種類のものを手がけています。
作業場は自宅の2階。
ここでの作業は竹の細工や金属のロウづけ、漆の下塗りなどです。
その時々の仕事の様子を見せてもらえます。

加賀友禅・加賀友禅館

北陸自動車道西インターのすぐそばにある総合観光施設。
加賀友禅の作品や工程を展示するとともに、一貫した製品づくりが行われています。
当館ならではのものは、友禅流しと地染工房の公開。
本来、市内を流れる犀川、浅野川の一情景だった友禅流しも、昨今は目にする機会が少なくなりました。
ここでは、地下水を利用した人工川で友禅流しを実演。
彩色職人の仕事場も公開され、また、手軽な型染が楽しめる体験コーナーが設けられています。

加賀刺繍・小林刺繍舗

ひと針ひと針丹念な縫いを繰り返す指先から描き出されていく色とりどりの絹の光沢、繊細な絵模様。
この仕事場は、加賀縫い特有のぬくもりの由縁をおのずと語ってくれます。

日本酒

米の大生産地・加賀の穀倉を抱え、恵まれた水と気候、そして何より豊かな山海の幸に鍛えられた舌を持つ人々に支えられて、豊臣秀吉の醍醐の花見にも登場するように、加賀の酒は古くからその味わいにも定評があります。藩政時代から続く蔵もあって、近年は全国鑑評会において常に金賞を受賞する蔵を輩出し、全国に石川県の酒の名を高めています。
(お問い合わせ先:石川県酒造組合連合会 TEL:076−251−2115)

味噌・醤油

金沢市西方の大野町は、大野湊を抱えてかって船舶の往来が盛んでした。今も林立する煙突が醤油製造の歴史を伝えています。味噌・醤油製造は元和元年(1615)に広く販売をしたことにはじまり、大野湊から帆船で全国に運ばれました。今では湊の機能は車にとつて代わりましたが、上質な味噌・醤油を作り出す伝統は生き続けています。
(お問い合わせ先:石川県醤油味噌(協)TEL:076−231−6648)

醤油味噌・ヤマト醤油味噌

ここでは、醤油と味噌について歴史や醸造法、使い方などの説明、ビデオによる醤油工場の紹介があり、
醤油と味噌の奥深さをあらためて教えてくれます。

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